数種類の漢方薬を組み合わせて一つの処方を作る事を合方と言います。メジャーな合方を説明しています。

桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいっとう)

風邪、インフルエンザ、コロナで38℃前後の発熱

桂枝二越婢一湯の作り方

1回分: 桂枝湯2袋+越婢加朮湯1袋---を1日3回に分けて飲む

適応

がたがた震える段階は一段落、とにかく体がほてって熱っぽい。顔色が赤くぽっと赤く、汗をかいており、のどがいたいが、寒気はなく体が熱っぽくだるい。のどが非常に渇いて冷水を好むひと。風邪をロキソニンでごまかしながら働き続けた人によく見られる。職場にも多い、こじらせた風邪。

体温調節状態

体温上昇に働く経路=体温下降に働く経路、 もしくは、体温上昇に働く経路<体温下降に働く経路。ともに優勢。発汗のため、脱水状態。

処方解説

若干の脱水状態のため、交感神経系がほどよく緊張しているが、全身状態は悪くない。ウイルスと戦うのに熱産生を助け(麻黄)、脱水を補い(石膏)、熱放散のために血管を拡張(桂枝)する必要がある。桂枝湯がまず選ばれ、それに追加して麻黄・石膏の含まれた方剤が必要とされるため、越婢加朮湯が追加される。桂枝湯1袋+越婢加朮湯2分の1袋を1回分として一日数回服用する

桂麻各半湯(けいまかくはんとう)

風邪、インフルエンザ、コロナで38℃前後の発熱

桂麻各半湯のイメージ
蕁麻疹にもよく使われます
皮膚の表面に
溜まっているかゆみ物質を洗い流します

桂麻各半湯の作り方

1回分: 桂枝湯1袋+麻黄湯1袋---を1日3回に分けて飲む

適応

がたがた震える段階は一段落、とにかく体がほてって熱っぽいけど、あんまりのどは乾かない(上記の「桂枝二越婢一湯」が合う人との違いはここ)。発熱しつつも汗をかいており、発熱と放熱のバランスがとれている。軽めの風邪症状で、発汗し、咽頭痛はあるが、どちらかというと体が熱っぽく、寒気は少な目。

なかなか解熱しないから、しんどい状態が続いている。

本来、「汗をかいていたか」の判断は、ロキソニンなど消炎鎮痛薬を飲む前の状態で判断しますが、「子供」や「忙しい大人」などは、消炎鎮痛薬をのむ前に、汗をかいていたか聞いてもよく分からないことも多いです。そういうときに、桂枝湯と麻黄湯を混ぜたこの処方を選ぶこともあります。

体温調節状態

体温調節の仕組み感染症漢方の考え方、をまずご覧ください。病原菌と戦うために高体温を保つ必要がある(体温上昇に働く経路)が、放熱(体温下降に働く経路)もそれなりに行われており、全身状態はよい。体温を上げつつも、発汗し(麻黄・桂枝)て放熱するイメージ。

処方解説

桂枝湯をベースに、体温を高める麻黄と、のどの痛みに対し、杏仁が追加された処方。麻黄や桂枝で、皮膚の循環がよくなり有害物質が洗い流されるため、蕁麻疹など、皮膚表面の急性炎症の痒みにもよく効く。単純に桂枝湯1袋と麻黄湯1袋を混ぜ合わせて1回分として1日数回服用する。

大青竜湯(だいせいりゅうとう)

最重症のインフルエンザ・コロナ 40℃代の発熱

大青竜湯のイメージ1
大青竜湯のイメージ2

大青竜湯の作り方

方法①: 桂枝湯1袋+麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)1袋を混ぜて1回分。1日3回。マイルドに大青竜湯の作り方。麻黄の量を抑えながら、口渇に対する石膏も含まれる。

方法②: 麻黄湯1袋+越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)1袋を混ぜて1回分。1日3回。麻黄湯をさらにパワーアップさせる目的で、麻黄を増量して口渇に対する石膏を追加した組み合わせ方。麻黄が11g/日と非常に多量になるため、麻黄の管理に慣れた医師の管理のもと、飲むことが望ましい。

適応

発熱は39度ちかく。体の隅々まで熱が行き渡っており、とにかく高熱。寒気や頭痛、首や肩のこりがひどい。顔が真っ赤なのに、汗が全く出なくて、体熱が逃げない。ただただ体がだるい、息が荒い、発熱のため脱水傾向となり、のどが渇く、全身倦怠感、無汗、のどの痛み、頭痛、筋肉痛、もう苦しくて手足をばたばたさせてもだえ苦しむひと(煩躁という)。つらくてしようがない、どうしようもなくてうんうんうなってしまう。誰か助けて!! という状態のひと。

体温調節状態

体温上昇に働く経路が優勢すぎて、体温下降に働く経路が全く機能していない状態

処方解説

麻黄湯よりさらに炎症が強い状態。あまりの高熱に苦しがり、血管内脱水もきたしている状態。麻黄を増量して麻黄湯を強化させ、脱水に対し石膏が必要な状態。経路2を稼働させる(麻黄、桂枝)と同時に、体を冷やし、脱水を改善させる必要がある(石膏)。

中国は4方位に守護神がいると昔から考えられていました。東は「青龍」が守っています。

大青竜湯という名前は、主役の「麻黄」という生薬が、の緑(青)をしていることから、この東の守護神にちなんでつけられた名前です。

指をあてるとすぐ触れることができて、ぴーんと緊張している脈

例: 柴朴湯(さいぼくとう)

喘息の慢性期のコントロールに使われる。 柴朴湯は、慢性炎症のキードラッグ・柴胡の入った代表的処方「小柴胡湯」とのどの違和感・咳・心配性な傾向がある方の処方・「半夏厚朴湯」を二つ組み合わせた処方です。