生薬(しょうやく)とは

薬用植物は身近にあります。

漢方薬の原料となる薬用植物を「生薬」(しょうやく)と呼びます。左の絵は、身近な生薬の例です。上から時計回りに、冬瓜・なつめ・菊・クコの実・しょうが・大葉。スーパーに売っているものでも、薬用として使われるならば、「生薬」です。冬瓜は種と皮が、それぞれ「冬瓜子(とうがし)」「冬瓜皮(とうがひ)」として、なつめは「大棗(たいそう)」、菊は「菊花(きくか)」、クコの実は、「枸杞子(くこし)」、しょうがは「生姜(しょうきょう)」、大葉は「蘇葉(そよう)」として、薬用に使われます。

漢方薬とは

様々な生薬を組み合わせ、薬として用いられるものを「漢方薬」と呼びます。古典に従い、様々な生薬(下記①)を計量し(下記②)、混合(下記③)します。毎日煎じて飲めるよう、一日分ずつ計量し、煎じるための不織布に入れます(下記④)。①から④の過程はすべて、薬剤師が行います。

①原材料の生薬。
②古典のとおり計量します。
③様々な生薬を計量し、一つの処方を作ります。
④一日分ずつ、計量して、煎じるための不織布に入れます。煎じ薬の出来上がり。

漢方薬の色々な形と当院採用薬

①エキス製剤。一番流通している形です。
②煎じ薬。毎日30分煮出して飲む。
③丸剤。生薬を粉にして蜂蜜で丸める。

漢方薬には、漢方薬を煮詰めて抽出したエキス分に添加物を加え顆粒・粉末にした①「エキス製剤」、生薬を煎じて成分を煮出して飲む②「煎じ薬」、生薬を粉にして蜂蜜などで丸めた③「丸剤」、粉砕した生薬を溶かして飲む④「散剤」、など数種類の形態があります。

①のエキス製剤は、製造の過程で乾燥熱、破砕の刺激が加わってしまい、多くの有用成分が壊れてしまっています。効力としては、上記4種類のなかで一番弱いものとなります。②③④は、煮出した湯液・または生薬そのものを、直接体内に取り入れる形になるので、効果が高くなります。①エキス製剤と②煎じ薬の比較はこちら。

当院では、②③の漢方薬を保険診療でお出しすることができます。②と③につきましては、お時間を1週間ほどいただいております。理由は、②は煎じの代行を行っているため、③は処方後、院長が散剤と蜂蜜を練って作成するためです。

①のエキス製剤はお取り扱いしておりません。

煎じ薬って大変では??

腹証奇覧・桂枝湯編を
独断と偏見で改変

毎日30分、ぐつぐつ煮るのは、忙しい現代生活では大変です。しかし、現代だけではありません。昔の人達にとっても、毎日30分、煮出して飲む行為は大変でした。

今から1000年前、中国は宋の時代(紀元1100年ころ)、平和な時代がしばらく続き、人々は贅沢を好み清貧の思想から遠ざかりました。毎日30分煎じるのは面倒、という風潮が生まれ、煎じずに生薬を粉にして飲む「散剤」が多く作られるようになりました。当時の医学書、「太平恵民和剤局方」には、そのような理由で、多くの「散剤」が掲載されています。

散剤や丸剤は、生薬を粉にして直接服用するので、非常に効果が高い飲み方と言えます。

それでも、煎じ薬は良いもの・・・お届けしたい

院長は漢方専門の病院で研修していたころ、煎じの面倒さから多くの患者さんが、煎じ薬から遠ざかってしまうことをとても残念に思っていました。

特に、痛みの領域は、煎じ薬の力が大きく、エキス製剤のみでは十分な鎮痛が得られないことが多いです。

当院では、患者さんが煎じ薬を手軽に飲めるように、煎じ機を導入して煎じの代行を行っております。詳しくはこちら。